紅茶のこと
経験則から昔のことを思い出す時は精神的に弱っている時だなぁと考えつつ、初めて紅茶を飲み始めたころのことを書きます。
中学生の頃、いじめに遭いました。
それが元で学校に行きづらくなり、引きこもりになりました。
あの頃のいじめが逃げなければいけないほどひどいものだったのかはもう思い出せないし思い出したくもないのですが、先日成人式に行って中学の同級生を見た時、「こんな奴らがいた学校なんて通わなくて正解だったな」と思えたのでぼんやりと解決しました。
ただ、当時の自分はそんな風に考えられないので日の当たる外とは対照的な暗い部屋でうずくまって暮らしていました。
「こんな自分消えちゃえばいいのになぁ」
「死んだ瞬間落ち葉が土に還るように体が溶けるのなら今すぐ死ぬのになぁ」
闇のように黒々とした思いが頭の中でとぐろを巻いていました。
そんな状態でも家族は今までと変わらず私と食卓を囲んでくれました。
幸せだった小学生時代と同じように和やかな食事に私はとても癒されていました。
そして、学校に行かなくなったことで私は「三時のお茶」という今まで経験のない食卓を母と過ごすようになりました。
紅茶を飲むようになったのはその頃からです。
最初はカフェインの香りが苦手で、ジャムや牛乳を入れごまかし飲んでいました。
なぜ苦手な紅茶をわざわざ飲もうとしたのかというと、当時はまり始めていたビートルズのお国の慣習、ティータイムを真似したかったのかもしれません(笑)
ある日母が買ってきたアプリコットのジャムを紅茶に入れて飲むと、紅茶ならではの香りを楽しんで飲めるようになりました。
そして、飲み終わったカップのそこに残った少し紅茶の香りが移ったアプリコットの果肉を食べるのが大好きでした。
お茶の時間が終わると母は家の仕事に戻り、私はまたうずくまって暗闇の中で過ごしました。
それが世界から取り残された中学生の私に与えられた癒しでした。
今でも紅茶を飲むと、暗闇の中で見た三時の陽だまりを思い出します。
ああそういえば最近アプリコットジャム入れた紅茶、飲んでないなぁ…。